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ちょっと恥ずかしいのですが、左の写
真は「健康靴」を履いたときの私の足の
状態です。足が無理なく靴の中に収まっ
ていると思いませんか? ところで、
「足」の指はどうして5本の指に分かれ
ているのでしょうか?それは逆立ちをし
た時の「手」で考えてみてください。逆
立ちをした時、誰でも手の指を大きく広
げて体を支えようとします。指を広げて
指先に力を込めて手首を支え、バランス
をとります。では、「手」を「足」に置
き換えて、あなたが立っている姿を想像
してみてください。
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足裏には、3つのアーチと呼ばれる弓
形のカーブがあります。カカトから親指
の付け根を通る@の足の内側の縦アー
チ。カカトから小指の付け根を通るAの
足の外側の縦アーチ。そして親指の付け
根と小指の付け根を通るBの足の横アー
チです。アーチは板バネのように作用し
て、足に掛かる力を吸収、分散させるク
ッションになっています。ですから、な
んらかの原因で足のアーチ構造が崩れて
しまうと、クッションの効きが悪くな
り、荷重のバランスが変わって、足に負
担が掛かかるのです。
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左は健康な足のイラストです。親指
は、中足骨と呼ばれる指のおおもとの骨
と指骨と呼ばれる指先の骨とが一直線上
にきれいに並んでいます。その下の足先
から見た横のアーチを示す図を見てくだ
さい。指の付け根の骨を表わすイラスト
の親指と小指以外の付け根の骨が弓なり
に浮いているのが分かると思います。赤
色の矢印は、健康な足指の付け根に掛か
る荷重を示しています。この足の横アー
チが崩れて低下すると、様々な足のトラ
ブルを引き起こします。
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左のイラストは開張足(かいちょうそ
く)の進行過程です。開張足とは、足の
横アーチが崩れて、中足骨(ちゅうそつ
こつ)と呼ばれる足指の骨と骨との間隔
が拡がり、ちょうど扇を広げて開いた状
態の足のことです。「最近、足の巾が広
くなって、スマートな靴が履けない。」
などと思っているあなた。ひょっとした
ら、開張足が進行しているかも知れませ
ん。下の横アーチを示す図を上のそれと
比べて見て下さい。アーチが崩れ、低下
していくのが分かると思います。赤色の
矢印が示す足指の付け根に掛かる荷重も
変化しています。
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左のイラストはパンプスの中に閉じ込
められた足の状態です。開張足になった
足は親指と小指の付け根の間隔が広がり
ますが、指先は靴先の細いデティールに
押されて狭く閉じ込められています。つ
まり、指の付け根と指先が正反対の関係
になっています。指の付け根は広がる方
向に、指先は狭まる方向に、という相反
する力の作用で、足の変形が始まるので
す。これが、外反母趾になりやすい靴の
メカニズムです。ですから、巾だけが広
く、つま先がスマートな靴を選ぶと、外
反母趾は悪化することになるのです。
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これは外反母趾の足のイラストです。
親指のおおもとの骨と指先の骨が、足指
のつけ根を境に大きな角度を作っていま
す。こうなると親指が2番目の指の下に
潜り込んだり、上に乗ったりして、様々
なトラブルに悩まされます。また、横の
アーチが崩れて低下したことで、足裏の
2番目や3番目の指の付け根に荷重が掛
かって、タコや筋状の角質ができたり、
足指にピリピリと痺れたような痛みを感
じたりします。従って、低下した横アー
チを支えなければ、症状はどんどん悪化
します。さらに、指先を開放して足指の
動きを促すような靴に替えることも重要
です。
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さて、あらためて「健康靴」と足の状
態を比較してみて下さい。靴先から足先
までに、青い線で示した空間がありま
す。これは「余裕寸」と言い、足指の動
きを妨げないための、必要な空間です。
この「余裕寸」を、歩行時に確保するた
めに、ヒモやベルトで足を固定する必要
があります。家や保育園、幼稚園や学校
の中で靴を履かないという「日本の生活
習慣」が、靴の着脱を急がせ、「正しい
靴の履き方」が定着しない現状がありま
す。足の健康を守るために、「正しい靴
の履き方」が生活習慣となるようにした
いものです。
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女性のファッションには欠かせること
ができない「おしゃれ靴」の代表格と言
えばパンプスです。ところが残念なこと
に、「足の健康」にとってはリスクの高
い靴なのです。たとえば、体の健康にと
ってリスクのあるタバコと同様に、その
事実を認めて過度なリスクを負わないよ
うに注意することが重要です。左の図を
見てお分かりのように、つま先がシャー
プな形状よりも、足の自然な形に近い形
状の方が、足指の変形に対して優しいの
です。また、ヒールで踵を持ち上げた不
自然な姿勢が、骨盤の歪みや、腰痛の原
因になります。
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